大分弁の「〜きらん」は、
〜できない という意味で使われる言葉です。
「できん」よりも、
やろうとはするけど無理、最後までできない、という感じが出やすく、
「食べきらん」「持ちきらん」「言いきらん」のように使います。
この記事では、
- 大分弁「〜きらん」の意味
- 生活感のある使い方・例文
- 標準語との違い
- 地域差
をまとめて紹介します。
大分弁「〜きらん」とは?

大分弁の 〜きらん は、
「〜できない」
「〜しきれない」
という意味で使われます。
- 主に:自分にはできない、最後までやりきれないと感じるとき
- 場面:量が多くて食べられないとき、難しくてできないとき、気持ちの上でできないときなど
ただ「できない」と言うよりも、
やろうとしても、自分にはそこまでできない という感覚が出やすい言葉です。
たとえば、
- 食べきらん=食べきれない
- 持ちきらん=持てない
- 言いきらん=言えない
のように使います。
「〜きらん」の意味【大分弁 → 標準語】

〜きらん=〜できない/〜しきれない
ニュアンスのポイント
- 「しきらん」のように、その行動自体が「できない」という意味で使われる
- 「食べきらん」のように、量や限界から「最後までできない」という意味になることもある
- 難しさ・能力・気持ち・量など、いろいろな理由で「自分には無理」という感覚を表せる
「ひとりじゃ食べきらんわ〜。」
=ひとりでは全部食べられないよ。
生活感のある例文【意味が分かる形】

「ひとりじゃ食べきらんわ〜。」
=ひとりでは全部食べられないよ
「こん重たい荷物、うちひとりじゃ持ちきらん。」
=こんな重たい荷物、私ひとりでは持てない
「そげんこと、本人にはよう言いきらんわ。」
=そんなこと、本人にはとても言えないよ
シチュエーション別
- 食事
- 「こげえいっぱい出されたら、さすがに食べきらんで。」
=こんなにたくさん出されたら、さすがに全部は食べられないよ
- 「こげえいっぱい出されたら、さすがに食べきらんで。」
- 荷物
- 「それ全部いっぺんには持ちきらんけん、二回に分けよう。」
=それを全部一度には持てないから、二回に分けよう
- 「それ全部いっぺんには持ちきらんけん、二回に分けよう。」
- 会話
- 「思っちょっても、本人の前じゃ言いきらんこともあるわ。」
=思っていても、本人の前では言えないこともあるよ
- 「思っちょっても、本人の前じゃ言いきらんこともあるわ。」
※ 「〜きらん」は、
単純に能力がないというより、量が多すぎる、重すぎる、気持ち的に言えないなど、その人にとって“そこまでは無理”という場面 によく合います。
標準語との違い
- 標準語:〜できない/〜しきれない/〜きれない
- 大分弁:〜きらん
標準語では、
「食べきれない」
「持てない」
「言えない」
のように、動詞によって言い方が変わります。
大分弁の「〜きらん」は、
「食べきらん」
「持ちきらん」
「言いきらん」
のように使うことができます。
また、「できん」が広く「できない」を表すのに対して、
「〜きらん」は やろうとしても無理、そこまではできない という感覚が出やすいのが特徴です。
たとえば、
「ひとりじゃできん」
=ひとりではできない
「ひとりじゃ持ちきらん」
=ひとりでは持てない
のように、「〜きらん」の方が何ができないのか、その動作が具体的に伝わります。
かぼみ目線の一言コラム
「〜きらん」って、
うちはかなり自然に使う言葉なんよね。
「できん」でも意味は伝わるけど、
「食べきらん」
「持ちきらん」
「言いきらん」って言うと、
“やろうとはするけど、そこまでは無理”って感じが出るんよ。体力的に無理な時も、
気持ち的に無理な時も使える。短いけど、
その人の限界がちょっと見える言葉やなぁって思うんよ。

地域差

大分で使われる「〜きらん」は、
「〜できない/どうしても〜できない」という意味。
「そげんこと、しきらん」
「この瓶、かてぇき開けきらん」
「むげねぇき、顔を見きらん」
今回のコメントでも、「しきらん」「見きらん」「開けきらん」「使いきらん」など、いろんな動詞につけて使う声が集まった。
県内ではかなり広く使われる言い方やけど、地域差も少し面白い。
日田からは
「しきらん・みきらん・あけきらん・つかいきらん」
と、今でもかなり自然に使うという声。
実際、大分県内の可能表現を調べた研究でも、日田は「〜きる」など昔ながらの可能表現の使い分けが比較的よく残る地域として報告されちょる。
一方、佐伯市上浦からは
「しきらん」ではなく「できれらん」と言っていた、というコメントも。
研究資料でも、佐伯など南部海岸部には「〜きる」とは別の可能表現が強い地域があるとされていて、県内どこでも全く同じではなさそう。
ただし「佐伯では〜きらんを使わない」と一括りにはできず、地域・家庭・世代による重なりもありそうやね。
そして豆知識。
大分の「〜きる」は、
「する+きる」→「しきる」=できる
「する+きらん」→「しきらん」=できない
という“可能”の表現。
だから、
「むげのうて顔を見きらん」
は、「最後まで顔を見切れない」ではなく、
“かわいそうで、とても顔を見ることができない”。
体力だけじゃなく、怖さ・恥ずかしさ・気持ちの問題にも使えるんよ。
ここが標準語の「〜し切れない」とちょっと違うところ。
「食べきらん」も、場面によって
“量が多くて食べ切れない”
にも、
“苦手で自分には食べられない”
にも聞こえる。
短い「きらん」の中に、
「できん」よりもう一歩、“自分にはそこまで無理”という感覚が入っちょるのが面白いなぁ😊
ちなみに福岡・長崎・熊本などからも「普通に使う」という声があり、「〜きる/〜きらん」は大分だけではなく九州に広く見られる可能表現なんよ。
関連大分弁
まとめ

- 「〜きらん」=〜できない/〜しきれない
- 「食べきらん」「持ちきらん」「言いきらん」のように使う
- 「できん」より、“やろうとしても無理”な感じが出やすい
- 能力だけでなく、量・体力・気持ちの限界にも使える
- 大分だけでなく九州のほかの地域でも聞かれる
- 使う動詞や頻度には地域差・家庭差がありそう
かぼみの大分弁講座では、
「できない」だけでは言い切れない、その人の限界や気持ちまで伝わる大分弁も、これからも一つずつ丁寧に残していきます。
▶︎ 大分弁の一覧はこちら
