大分弁の「とぜねえ/とぜねぇ」は、寂しいという意味で使われる言葉です。
大分県では日田方面などで使われると言われていますが、県内全域で広く知られた言葉ではなく、大分市や県北からは「聞いたことがない」という声も寄せられています。
この記事では、
- 大分弁「とぜねえ」の意味
- 生活感のある使い方・例文
- 標準語との違い
- 地域差
をまとめて紹介します。
大分弁「とぜねえ」とは?

大分弁の「とぜねえ」は、
「寂しい」
「ひとりで心細い」
「人がおらず、物足りない」
といった気持ちを表す言葉です。
たとえば、
「今日は誰もおらんけん、とぜねえなぁ。」
=今日は誰もいないから、寂しいなあ。
のように使います。
単純に悲しいというより、人がおらん、話し相手がおらん、いつもより静かで物足りないといった場面に合いやすい言葉です。
「とぜねえ」の意味【大分弁 → 標準語】
とぜねえ/とぜねぇ=寂しい
ニュアンスのポイント
- 人がおらず寂しい
- 話し相手がおらず物足りない
- ひとりになって心細い
- 暇で手持ちぶさたな感じと重なることもある
- 「とぜねぇ」のように発音・表記されることもある
「みんな帰ったら、とぜねえなぁ。」
=みんなが帰ったら、寂しいなあ。
生活感のある例文【意味が分かる形】
「今日は誰もおらんけん、とぜねえなぁ。」
=今日は誰もいないから、寂しいなあ
「孫が帰ったら、急にとぜねえなったわ。」
=孫が帰ったら、急に寂しくなったよ
「ひとりで飯食うんも、とぜねえなぁ。」
=ひとりでご飯を食べるのも寂しいなあ
シチュエーション別
- 家族が帰ったあと
「みんな帰ってしもうたけん、とぜねえわ。」
=みんな帰ってしまったから、寂しいよ
- 一人で留守番
「今日は一日ひとりやけん、とぜねえなぁ。」
=今日は一日ひとりだから、寂しいなあ
- いつもにぎやかな場所が静かな時
「今日は人がおらんで、とぜねえなぁ。」
=今日は人がいなくて、寂しいなあ
「とぜねえ」は、人とのつながりがなくなった時の「寂しい」に、特にしっくりくる言葉です。
標準語との違い
- 標準語:寂しい
- 大分弁:とぜねえ/とぜねぇ
基本的な意味は「寂しい」ですが、「とぜねえ」には、もともと退屈・手持ちぶさたに近い感覚も含まれていたとされています。
そのため、
「一人で悲しい」
だけでなく、
「誰もおらんで、なんか物足りん」
「話し相手がおらんで、することもねえ」
といった感覚まで含めて使われることがあります。
「寂しい」と「退屈」の間にあるような気持ちを表せるのが、おもしろいところです。
かぼみ目線の一言コラム
「とぜねえ」って、うちはあまり馴染みがない言葉なんよね。
最初に見た時は、
「これ、大分のどこで使うん?」
っち思ったくらい。
でも、調べてみると日田方面などに残っちょって、さらに大分だけの言葉でもない。
しかも語源をたどると、あの「徒然」とつながると言われちょるんよ。
県内でも知らん言葉がまだまだあるし、昔の日本語が地域に残っちょることもある。
こういう言葉に出会うと、「知らん大分弁=大分弁じゃない」とは言えんなぁと思うっちゃ。

地域差

大分弁の「とぜねえ」は、「寂しい/人がおらんで心細い」といった意味で使われる言葉っちゃ。
今回のコメントでは、日田から「普通に言う」という声がはっきり出た。
たとえば、お盆に帰ってきた親戚が帰って家が静かになった時や、店にお客さんが全然来ん時に「とぜねえ」。実家から帰ろうとすると、お母さんが「とぜねなるねぇ…」と言うという、まさに“人がおらんようになる寂しさ”が伝わる例もあった。
一方、大分市・臼杵・豊後高田などでは「初めて聞いた」という声が多く、県内全域で使われる言葉ではなさそう。県北でも「聞かない」という人がおる一方、「ばあちゃんたちは使いよった」という声もあり、地域差に加えて世代差・家庭差もかなり大きそうやね。
日田でも「最近の人は言わん」という声があるけん、年配世代に残りやすい言葉なのかもしれん。
「徒然草」の“徒然”と関係ある?
「とぜねえ」のもとになった言葉として、「徒然(とぜん)」が挙げられます。
「徒然」は、することがなく手持ちぶさたなこと、退屈なことを表す古い言葉です。
そこから、
「することがなくて物足りない」
↓
「人がおらず物足りない」
↓
「寂しい」
というように意味が広がったと考えられています。
有名な『徒然草』の「徒然」と同じ言葉につながると考えると、「とぜねえ」がずいぶん昔の日本語を残した言葉に見えてきます。
大分では日田方面などに残り、ほかの九州地方や東北にも似た形が残っていることから、「大分だけの珍しい方言」というより、古い日本語が各地に残った例として見るとおもしろい言葉です。
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まとめ
- 「とぜねえ/とぜねぇ」=寂しい
- 人がおらず、物足りない・心細い時に使う
- 「退屈」「手持ちぶさた」に近い感覚が重なることもある
- 大分では日田方面などで使用が伝わっている
- 大分市からは「聞いたことがない」という声がある
- 県北からも「聞かない」というコメントが寄せられている
- 大分県全域で共通して使われる言葉ではない
- 大分独自ではなく、九州や東北にも似た言葉が残る
- 古語の「徒然(とぜん)」につながるとされ、「徒然草」と同じ言葉の系統と考えられる
かぼみの大分弁講座では、
「とぜねえ」のように県内でも知っちょる人と知らん人が大きく分かれる言葉や、昔の日本語につながる大分弁も、これからも一つずつ丁寧に残していきます。
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