大分弁の「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」は、かわいい/愛らしいという意味で使われる言葉です。
赤ちゃんや子ども、動物などを見て「かわいいなぁ」「愛らしいなぁ」と感じた時に使われます。
大分の資料では「むどらしい」が確認され、臼杵では「むぞらしい」の形も記録されています。また「もどらしい」という形も大分の言葉として確認されており、地域や話す人によって音が揺れる言葉として見るのがよさそうです。
この記事では、
- 大分弁「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」の意味
- 生活感のある使い方・例文
- 標準語との違い
- 地域差
をまとめて紹介します。
大分弁「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」とは?

「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」は、
「かわいい」
「愛らしい」
「かわいらしい」
という意味で使われます。
たとえば、
「この子、しんけんむどらしいなぁ。」
=この子、本当にかわいいね。
というような使い方です。
大分では一つの形だけが使われるわけではなく、
「むどらしい」
「もどらしい」
「むぞらしい」
と、似た形が確認されています。
資料上も「むどらしい=かわいらしい」、臼杵では「むぞらしい」の形が確認されているため、「どれか一つだけが正しい」とするより、同じ系統の言葉に複数の語形があると考えるのが自然です。
「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」の意味【大分弁 → 標準語】

むどらしい・もどらしい・むぞらしい=かわいい/愛らしい
ニュアンスのポイント
- 人や子ども、動物などのかわいらしさを表す
- 「愛らしい」「かわいらしい」に近い
- 「むど・もど・むぞ」と音に違いがある
- 地域だけでなく、家庭や話す人による違いもありそう
- 大分県内で一つの形に統一されているわけではない
「その子、むぞらしいなぁ。」
=その子、かわいいね。
生活感のある例文【意味が分かる形】

「この子、しんけんむどらしいなぁ。」
=この子、本当にかわいいね
「その猫、もどらしい顔しちょるなぁ。」
=その猫、かわいい顔をしているね
「赤ちゃん、むぞらしいなぁ。」
=赤ちゃん、かわいらしいね
シチュエーション別
- 赤ちゃんを見て
「まあ、むどらしい子やなぁ。」
=まあ、かわいい子だね
- 猫や犬を見て
「こげえ小せえと、しんけんもどらしいなぁ。」
=こんなに小さいと、本当にかわいいね
- 子どものしぐさを見て
「一生懸命しよるんが、むぞらしいなぁ。」
=一生懸命やっている姿が、愛らしいね
「かわいい」の一言だけでなく、**見ていて愛情がわくような「愛らしさ」**を感じる言葉として捉えると分かりやすいです。
標準語との違い
- 標準語:かわいい/愛らしい
- 大分弁:むどらしい/もどらしい/むぞらしい
意味としては「かわいい」に近いですが、「愛らしい」「かわいらしい」と訳した方が雰囲気の伝わる場面もあります。
たとえば、
「この子、かわいいね」
が、
「この子、むどらしいなぁ」
となる感じです。
また、「むどらしい」だけが唯一の形ではありません。
大分の資料には「むどらしい」、臼杵の資料には「むぞらしい」が確認され、「もどらしい」も大分の言葉として刊行例があります。
そのため、
「むどらしいが正しくて、もどらしいは間違い」
というように整理するのではなく、音の違う仲間が県内に残っている言葉として紹介するのがよさそうです。
かぼみ目線の一言コラム
「かわいい」っち、今なら普通に誰でも使う言葉やけど、
昔の大分では、
「むどらしい」
「もどらしい」
「むぞらしい」っち言いよった地域があるんよね。
しかも一文字ずつ微妙に違う。
「むど」なのか、
「もど」なのか、
「むぞ」なのか。コメントを見よっても、一人の人が複数の言い方を知っちょることもあるんよ。
こういうのを見ると、方言って市町村ごとにピシッと線を引けるもんじゃなくて、家族や世代の中でも少しずつ音が揺れながら残るんやなぁと思うっちゃ。

地域差

大分で「かわいい/愛らしい」を表す言葉。
今回あらためて調べてみると、
「むどらしい」
「もどらしい」
「むぞらしい」
は、単なる聞き間違いではなく、大分に実際に記録が残る言葉でした。
資料では『大分方言辞典』に、
「仔猫がむどらしい声じ鳴くんじゃ」
=「仔猫がかわいらしい声で鳴くんだ」
という用例があり、臼杵の1982年の方言資料には、
「お前かたん子は、むぞらしうなったろうのう」
=「あなたの家の子は、かわいらしくなっただろうね」
という例も残っちょる。
さらに面白いのが、
「おかしもどらしい」
という言葉。
2020年の刊行物では「大分の言葉」として紹介され、
「おかしいけれど、愛らしい」
という意味で説明されちょるんよ。
ちょっと変わっちょる、ちょっとおかしい。
でも、そこが何ともかわいい――。
単なる「かわいい」より、“愛嬌があって憎めない”ような感じまで含んじょったのかもしれんね😊
今回のコメントを見ると、現在県内で広く知られちょるのは
「ええらしい/えらしい」
の方みたい。
日田では
「えらしい=かわいい」
「もぞがる=かわいがる」
という声があり、資料にも日田の「えらしい」が残っちょる。
一方、県南では「明治生まれのばあちゃんが『むどらしい』と言いよった」という証言があり、「子どもの頃『もどらしい』と言われよった」という人も。
臼杵には昔の資料で「むぞらしい」が確認できるのに、今回の臼杵からは「知らない」という声もあった。
別府でも「知らない」という反応があり、地域差だけでなく、かなり大きな世代差もありそうやね。
豆知識として、この言葉の仲間には、
「むどがる」=可愛がる
「むどなぎい」=かわいそう
という言葉もある。
一見すると「かわいい」と「かわいそう」は別の意味に見えるけど、昔の「不憫に思う→いとしく思う→可愛がる」という意味のつながりを考えると、同じ言葉の仲間として残った可能性があるんやって。
ただし、
「むぞらしい→むどらしい→もどらしい」
と一直線に変化したとまでは分かっておらず、地域や話者による音の違いが重なっちょると考えた方がよさそう。
宮崎にも
「むぞらしい/もぞらしい」
=かわいい
があり、阿蘇からも「むぞらしい」という声が寄せられた。
つまり、
「大分では全部“むどらしい”」
ではなく、
県内に
「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」
といった古い形が点々と残り、その横で
「ええらしい/えらしい」
が広く使われてきた――
そんな言葉なのかもしれんね。
「おかしもどらしい」まで含めて見ると、昔の大分の“かわいい”には、見た目だけじゃなく「愛嬌がある」「いとしい」まで入っちょったようで、しんけん面白い😊
昔「かわいい子やなぁ」と言う時、みんなのじいちゃん・ばあちゃんは何ち言いよった?
関連大分弁
- ええらしい(かわいい/愛らしい)
- むどがる(可愛がる)
- むどなぎい(かわいそう/気の毒な)
まとめ
- 「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」=かわいい/愛らしい
- 赤ちゃん、子ども、動物などのかわいらしさを表す
- 大分では「むどらしい」が資料で確認されている
- 「もどらしい」という形も大分の言葉として確認されている
- 臼杵では「むぞらしい」系の形が記録されている
- どれか一つだけが正しいのではなく、地域や話者による語形の揺れがある
- コメントでも「もどらしい・えらしい・むぞらしい」と複数の言い方を挙げる声がある
- 日田では「えらしい」という別系統の「かわいい」表現も確認される
- 宮崎など九州各地にも「むぞ/もぞ」系の似た言葉がある
- 県内の細かな分布については、今後さらに実際の使用地域を集めたい言葉
かぼみの大分弁講座では、
「むどらしい・もどらしい・むぞらしい」のように、同じ「かわいい」でも地域や家庭によって少しずつ音が変わる大分弁を、これからも実際の声と一緒に一つずつ丁寧に残していきます。
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